目次
⒈鍼灸治療で改善する可能性がある自律神経の不調の例
普通に生活しているかたでも、「今日も元気!」 とはいえない状態の多くがあてはまります。。

・耳が詰まっている感じがする
・フワフワ浮いているような、雲の上を歩いているような感じ
・目が乾く(ドライアイ)
・唾液が十分出ず、口の中がパサパサ
・鼻の中が乾いてカピカピ
・目がさえて眠れない あるいは眠いのに眠れない
・食欲不振、胃腸の不調
・胸苦しく、息が十分に吸えない気がする
・頭が重い、あるいは頭痛がする
・じっとしていても動悸がする、 など
・イライラする
・気が沈む
・全身がだるくいつも疲れている感じ
・考えがまとまらず集中力が低下している
・何かに追われているような焦燥感がある
・リラックスできない
・やる気が出ない
・根気がない
・楽しくない、 など
⒉自律神経のはたらき
わたしたちの生命は、「自律神経系」のはたらきによって維持されています。
意識しなくても「呼吸」し、「消化」し、栄養や水分を「吸収」して「排泄」の準備もしています。
これらの生命活動をになうのが「自律神経」です。

この「自律神経系」の司令塔が、脳幹にある「視床下部」です。
生きていくのに必要な活動が正常に行われているかを、常に監視しています。
いっぽう、脳の細胞は大量の酸素を消費するため、脳への酸素供給量が少しでも減少すると、十分に機能しなくなります。
血行不良=酸素不足ですから、脳への血行が悪くなれば脳のパフォーマンスが低下するのです。
だから、首こりによる動脈の圧迫があると、脳そのもののの機能が少しダウンして、広い範囲で多種多様な不調が起こります。
とてもよくできている自律神経系ですが、ときにはうまく機能できないときがあります。
そういうとき、自分では心やからだの不調を感じるのに、病院の検査は「異常なし」となることもあります。
人体は精巧なので、「好調・快適」の範囲から少しでも外れるとすぐ異常として感知しますが、その程度があまりに微妙なときは、数値や画像として客観的に把握できなくて、「異常なし」とされるのです。
3.微妙な不調と西洋医学
「鍼なんてイヤ、病院の薬が一番!」とお思いの方に。

西洋医学の治療は、原因をはっきりさせることから始まるので、西洋医学的な諸検査で明らかな異常が出ない場合、病名が付けられず、治療法も決まらないことになります。
となると患者さんは、周囲に自分の状態の説明としてはっきりした病名を挙げることができず、つらさが周りにわかるものではないこととあいまって、周囲の理解を得るのが難しくなります。
そのために「気のせいだ」「自分の気の持ち方で変えられるのに」「我慢が足りない」などと自分を責めてしまうことにもなります。
そして、考えが次第に暗いほうにかたよって、鬱っぽくなってしまいます。
「不定愁訴」という言葉があります。
名前からしてとらえどころがありませんが、そのベースは西洋医学的な見地です。
西洋医学では、具体的な数値や画像から原因が判明しないと治療が始まりません。
ですから、ご本人にしかわからない、データとして客観化できない症状に対処するのは苦手です。
こうした感覚的・主観的でご本人にしかわからず、しかもその時々で微妙に内容が変わる「不調感・不快感」は、ひっくるめて「定まらないつらさの訴え」つまり「不定愁訴」と呼ばれるようになりました。
ところがその不定愁訴のうちかなりの症状が、首の筋肉をゆるめる鍼灸治療で、軽くできるのです。
当院は、首・肩・腕・背中の筋肉と動きのつながりをきちんと理解して治療していくので、はじめての治療でも楽になったと実感していただけます。
⒋首こりからの不調


鍼灸治療は、かたくなった首の筋肉を小さな刺激で和らげて、非常事態宣言を出している脳に、速やかに必要なだけの血液を送る態勢に整えることができます。
「不定愁訴」といわれるさまざまな心身の不調のなかには、脳に十分な血液が届けば解消されるか軽くなるものが多くあります。
よく例として挙げられる、不眠・めまい・うつ症状などにとどまらず、
・やる気が出ない
・考えがまとまらず根気もなく、集中力も決断力も低下している
・全身がだるくいつも疲れている感じ
・いつも悲観的な見通しばかりたって楽しくない、
など、自分の性格だから仕方ない、と思い込んでいる部分まで変わり、日常生活が驚くほど明るく前向きになります。
首こりによる動脈の圧迫があると、脳そのもののの機能のダウンから広い範囲で多種多様な不調が起こります。
ハリやお灸については、「鍼とお灸について」の項にくわしく書きましたが、治療自体は想像するより全然痛くありませんし、リラックスできるものです。
不定愁訴でQOL(生活の質)が低いまま過ごすより、一度当院の鍼灸治療を試してみられてはいかがでしょうか。

⒌首の筋肉に(髪の毛くらいの)鍼を打つ
鍼灸治療で改善できる不調は、首の筋肉のコリからくる自律神経の不調が原因のものです。
首の筋肉をゆるめて首から上に行く血液の流れを良くすることで、脳を始めとして、首から上にある感覚諸器官(目・耳・鼻)の機能を本来の水準に戻し、たくさんの「⒌和感」を低減させます。
首に針を刺す!
字で見ると、「ひえ~!自分には絶対無理!」となりますが、正確には「首の筋肉に(髪の毛くらいの)鍼を打つ」です。
鍼灸治療は、髪の毛くらいの太さのしなやかな鍼による刺激なので、たとえば手で直接揉んで力を加える刺激よりソフトで安全。
首というデリケートなところの筋肉をゆるめるのに適しています。
⒍首こりの鍼灸治療
⑴頚椎はバネ!
まず、「首の骨」のお話。
ヒトの首は、7つの短い骨(頚椎)がつながってできています。
じつは、細長くそびえる人体のてっぺんに重い頭があること自体が、首の故障の一番の原因になります。
首の筋肉は、重い頭を安定して支えるいっぽう、感覚器官である目と耳・鼻、摂食器官である口を補助するために、素早くしなやかに動かなければなりません。


頚椎も含めた脊柱(背骨)は、コロッとした「椎骨」が連なってできています。
たとえば大腿骨のような一本の骨だったら、頑丈ではあっても自由に動くことができないでしょう。
それに対して、複数の短い骨をしっかりつないで靭帯や軟骨で補強すれば、強度では一本の骨に劣っても、身動きは自由になります。
この二つを同時に達成するための進化の工夫として、頚椎がバネの役割をになうようになりました。
バネとしての弾力を得るために、頚椎は中ほどで前方に出るようにゆるやかに弯曲しました。
これが「頚椎の前弯」で、頚椎がバネの役割を果たすための形です。
その結果、真っ直ぐな棒のてっぺんに 重い球=頭 が乗っている場合に比べて、歩行や跳躍時の着地の衝撃をずいぶんやわらげることができました。
脳や首そのものへのダメージを減らすことができたのです。
ここで大事になってくるのが、重い頭をてっぺんにのせてもからだを歪ませない「使い方」です。
⑵首こり、ストレートネック、スマホ首

「首こり」という言葉は、「首の筋肉がかたくこって困った症状を生む原因になっている状態」を指します。
これに対して、よく聞く「ストレートネック」とは、からだの設計から外れた使い方をされた結果、本来あるべき正常なアーチ(前弯)が失われて、真っ直ぐになってしまった首の骨のかたちを指す言葉です。
スマートフォンを長時間使う人に多く見られるため、「スマホ首」とも呼ばれます。
もちろん姿勢が原因ですから、スマホを見る以外の理由からも起こります。「ストレートネック」とは、バネの役割を果たすこの弯曲がなくなって言葉どおり真っすぐになってしまった首なのです。
長い進化の試行錯誤の末にやっと獲得した「前弯=バネ」を失えば、当然さまざまな不都合が生じます。
身動きするたびに衝撃がゴンゴンと頭に伝わるので、これを緩和するために、首やノドの筋肉はもともとの設計以上の頑張りで疲れてこわばり、脳をはじめとする頭部・顔面にあるいろいろな組織・器官への血流が悪化し、おまけに「むせやすい」という弊害もともないます。

ストレートネックを引き起こすのは、首の筋肉のコリ。
その首の筋肉が凝る原因は、本来のバネの役割りを果たせなくなったストレートネックです。
つまり、この二つはニワトリと卵のような悪循環を繰り返しながら、どんどん悪化していきます。
ここで、鍼灸治療で首の筋肉をほぐせば、この悪循環を断ち切ることができます。
⒎ストレートネックと「老後の元気」
首から肩甲骨周囲の筋肉は互いに結びつきが強いので、1か所にコリなどの強い緊張が起きると、すぐにまわりに伝わります。
また、ストレートネックによる不調がはっきり表れるくらいの状態では、首の筋肉の緊張だけでなく、肩甲骨周囲や前胸部、腰、股関節、脚も含む全身の関節の柔軟性が低下して、こわばりが生じている可能性が高いです。
ごくゆっくりとこわばりが強くなるので自覚しにくいですが、実際にはご本人の毎日の暮らしの差しさわり(QOLの低下)となっている場合も多いのです。

また、テレビなどで「とても元気な高齢者」として話題になるかたたちの共通して見られるのは、「首が前に出ておらず」かつ「背中がまっすぐ」という姿勢です。
これは、首の筋肉の凝り、いわゆる「首こり」からの血流の悪さが少なくて、脳をはじめとする目・耳・鼻などの機能不全が起きている可能性が低いことにつながります。
人体の設計で一番大事なのは、重い頭を背骨が真下から支えることです。
良い姿勢とは、ただ背中が真っ直ぐというだけでなく、鎖骨が広く開いて、胸が前にすぼまっていない状態です。
この姿勢を保つにはなかなか筋力が必要です。
表面にあって外からよく見える大きな筋肉(表在筋)だけでなく、もっと深いところ、骨に近いところにある小さな筋肉、いわゆる「インナーマッスル」のバランスの取れた働きも大事です。

「姿勢は大事」と漠然と思うだけでなく、とにかく首と背骨のつなぎ目で、手で触れてはっきりわかる首がガクンと折れる原因になる姿勢、つまり首だけを前に出すような姿勢を長時間保つのは、絶対に避けましょう。
それが元気な老後の決め手になります。