⒈「冷え」がこわい理由

伊達の薄着はリスキー

人間の生命活動は、たんぱく質の一種である酵素を仲立ちとする化学反応(代謝)に支えられています。
体温が低いとガンになりやすい、といわれますが、これを「代謝と体温の関係」から考えてみましょう。

代謝も化学反応なら、温度が高いほど活発か、というと上限があります。
仲立ちの酵素類が42℃以上になるとうまく機能しなくなるからです。
健康人の体温である37℃という温度は、「少々発熱しても、生命にかかわる42℃のレベルに届かない、という条件のもとで、望みうる十分高い温度」なのです。

「代謝」には、「生命活動に必要な物質を合成する反応」と、「食べたものを分解してエネルギーを得る反応」がありますが、心身に無理がかかるとどちらもうまくいかず、体温も維持できなくなって、37℃の水準を下回ることになります。

下から先に冷える!

すると酵素の働きがにぶって一層代謝が悪くなり、また体温が下がり、そのためさらに代謝が下がる、という悪循環におちいってしまいます。
体全体の調節を担う自律神経の働きも不十分になり、免疫力・抵抗力が低下して、外邪に対抗できなくなります。
回復力も低下するので、一旦体調を崩すとなかなか健康に戻れませんし、脳内のホルモン分泌にも不具合がでて、「こころ」も健康ではなくなります。

体温・代謝の低下は、ガンの危険に限らず、あらゆる面で健康をおびやかすのです。
体温低下の原因は色々ありますが、その中でも、せめて外からの寒冷刺激はブロックしたいものです。
疲れや寝不足で体調が悪いときは、元気を守る薬だと思って、足元から厚着をし、使い捨てカイロも積極的に使いましょう。
暑い季節は冷房が入りますが、暑い場所から冷房が効いた場所に移るときは、忘れずに上着を羽織ったり、ひざ掛けを使いましょう。

⒉足先の冷え

冷たぁ~い足先にある血液の温度は、26~27℃くらい。
深部体温(直腸などの温度)が33℃になると意識が朦朧とし、28℃よりも下がると意識がなくなるそうですから、からだの末端で体表とはいえ血液の温度が26~27℃というのはかなりマズイ状況です。
そして、この冷たぁ~い血液も、1分間でひとめぐりする全血液の循環の中で、心臓と肺を目指します。通りみちの熱を奪いながら!            

水につけているようなもの

まず、足先のすぐ上から太ももまでの下肢、つまり「脚」は、爪先が冷たければあたたまることがありません。
脚を通った血液は足先にあった時よりは温かくなっていますが、もともと脚は太さの割に表面積が大きくて熱が逃げやすく、理想的な深部体温37℃からはまだほど遠い温度です。
この低温の血液が、腰と骨盤内臓器から熱を奪います。
するとこの部位では、足先が冷えている限り常に下からくる血液に熱を奪われて、細胞たちはいつも望ましい温度より低い環境で暮らすことになります。
当然、新陳代謝が悪くなって回復力が低下し、日々の疲労によるダメージを十分修復できなくなります。
この状態が長く続くと、健康に暮らせる合格点がとれなくなり、慢性腰痛・坐骨神経痛・婦人科疾患などにつながっていきます。

レッグウォーマーでふくらはぎを保温する

また、冷えのために足先の血管がいつもちぢこまっていること自体が刺激になり、自律神経のバランスが緊張モードにかたむいて、からだの末端すべてで血行が悪くなる、という悪循環も生じます。
「たかが足先の冷え」ではないのです。

こうしたことを防ぐには、きつい靴や靴下は避けます。
もともとふくらはぎは放熱器官で冷えやすく、冷えが入り込みやすい足首まわりとともにしっかり包まなければなりません。
そのために、靴下はくるぶしの上まで来るものを選び、下着やレッグウォーマーなども保温性を中心に選びましょう。
そうすれば、温かい血液が足先までしっかり流れて、毎日気持ちよく過ごせますよ。