顔までむくんじゃった!

お酒には利尿作用があります。
お酒を飲み始めるとトイレに行きたくなるのはそのためです。
にもかかわらず、飲酒の翌日に顔がむくむのは、なぜなのでしょうか?
理由を考えてみました。

原因① 抗利尿ホルモン
私たちの体内の水分量は一定に保たれています。
水分が過剰に排出されるのを防ぐのが「抗利尿ホルモン」です。
アルコールには「抗利尿ホルモン」の分泌をおさえる作用があるので、お酒を飲むとおしっこが多く作られて、お手洗いが近くなります。
たとえばお酒100mlを飲むと、体内の水分は120mlくらい出ていく、といわれています。
体に入れたお酒の量以上に水分が出ていきます。
つまり、お酒を飲めば飲むほど体内の水分は減り続けるのですが、「にもかかわらずむくむ」からハナシがややこしくなります。

楽しくてもほどほどに

これには、以下のような仕組みがあるからです。
まず、お酒の利尿作用で水分がどんどん排泄され、その結果血液中のアルコール濃度が、どんどん高くなります。
でも、もともと「抗利尿ホルモン」は、からだの水分量を適正に保って生命を守るために作用するものですから、飲みすぎたアルコールに完全に抑制されれば、生命維持に欠かせない水まで排泄して、死んでしまうことになります。
そのため、ある程度水分が排泄されると、体内の水分分布のバランスをよくするために、今度は「アルコール濃度を下げる/水で薄めようとする」作用が働き、体は水分を溜め込むようになります。

結局、アルコールの摂りすぎからのおしっこの増加で死ぬことはありませんが、体内の望ましい水分分布は乱されます。
就寝中は、頭部も含めた体全体がほぼ同じ高さになるので、余分な水はヒタヒタと顔にも侵入し、正常ならむくみが及びにくい顔もむくんでしまうことになります。
つまり顔のむくみの原因は、腎臓や肝臓の(その時の)処理能力を超えてアルコールを体内に入れてしまった「からだの持ち主」にあると言えます。

原因② 血管の拡張
お酒は、利尿作用によって、多く飲むほど体内の水分が減ってアルコール濃度が高くなっていくので、体内の水分を増やしてアルコール濃度を下げよう、とする働きが生じます。
このため血管が拡張して血液量が増えますが、同時に元々流れていた水分が血管壁から押し出され、細胞の間へ漏れ出します。
体内では「浸透圧」といって、細胞が水分量をバランスよくしようとする働きがあるので、血管から押し出された水分はもとに戻らず、細胞の間にとどまります。
体内の水分が排出されるには、尿あるいは汗となるか、呼吸時に呼気とともに出ていくのが主ですが、これはすべて血管・リンパ管の中を流れて腎臓などの臓器に運ばれて処理されなければなりません。
細胞の間にある水分はこのルートから外れているので、体内に留まり続け、むくみを引き起こします。