正常な嚥下と誤嚥

「むせる」のはノドの筋力の低下のせいで、「自分には無関係!」と思っていた若者が、何気なく水を飲んだときにむせた…。
「え?!」という感じで、結構あわてて、ショックを感じるのではないでしょうか。

たしかに年齢と共に喉の筋力も衰えていきます。
でも最近、若い健康な人でもむせやすい、という例が増えてきました。
若い人の「むせ」は、高齢者の方とは若干ことなり、その最たる原因が「ストレートネック」です。

実は、食べた物をかみ砕いて唾液と混ぜ、飲み下す一連の作業は、とても精巧な動作の組み合わせです。
そもそもノドは、「食べ物の通り道(食道)」と「空気の通り道(気管)」が交差しているので、呼吸しながら飲食できるのは、考えてみると不思議です。
それができるのは、口や喉のまわりの筋肉・神経が複雑な共同作業で、空気は気道に、飲食物は食道にと、選別しながら送っているからです。
つまり、いくつもの筋肉が連携して、一連の動作が絶妙なタイミングで行われるからなのです。

アゴが上がると食べ物が食道へうまく入らない

ところが、ストレートネックでは、ノドや首周辺の筋肉が凝って血流も悪くなり、筋肉の動きが悪くなっているだけでなく、相互に連絡する神経の感受性も低下しています。
また、PC作業に熱中すると自然に画面の方に乗り出していき、それにつれて顎が上がっていきます。
この姿勢が長時間続くと、後頭部や後頚部の筋肉が縮みっぱなしになって、飲食するときも顎が上を向き気味なり、ノドの入り口で気管に蓋をして食物をさえぎるセンサーの働きが悪くなり、飲食物が気道に入りやすくなるので、むせることが多くなるようです。