最近、若く健康な人でもむせる、という例が増えてきました。
若い人の「むせ」の最たる原因が「ストレートネック」です。

食べた物をかみ砕いて唾液と混ぜて飲み下す「嚥下えんげ」という動作は、「タイミング」がカギになる、とても精巧な運動の組み合わせです。
考えてみると、ノドは「食べ物の通り道(食道)」と「空気の通り道(気管)」が交差しているので、呼吸しながら飲食できるのは、不思議です。
それができるのは、喉の奥にある蓋、「喉頭蓋こうとうがい)」のおかげです。

飲食するときは、この蓋をしたうえで唾液や飲食物をごっくんと飲み込むことで、液体や固体が気道に入らずきちんと食道に入るようにしています。
この動作にはタイミングが重要で、口内や首・ノド周辺の多くの筋肉・神経の巧妙な協調が必要になります。

つまり「むせ」は、蓋がきちっと閉まる前に飲み込む動作が始まり、唾液や飲食物が気管に入ることで起こります。
なぜ「下手な」飲み込み動作が起こるのか?
それは喉周辺の血行が悪いと神経の連携がうまくいかず、タイミングがずれて蓋が閉まるのが遅れるからです。

*「ストレートネック」と「喉頭蓋」
体重の10分の1といわれる重い頭は、人体の設計上背骨が真下から支えることになっています。
そのため、スマホやパソコンを操作するときに多く見られる、顎を突き出して前を注視し、頭の重さが首の前面、つまりノドの部分の筋肉にかかる姿勢では、この部分の筋肉に、本来の設計にはない大きな負担がかかります。

その結果、ノド周辺の筋肉がとても疲れてかたくなり、動きに制限がかかるだけでなく、血行も悪くなって、周囲に分布する神経の感度も下がります。
すると蓋が閉じるのが間に合わず、液体や固体が器官に流れ込むのでむせてしまうのです。

対策には、喉のまわりをよく動かす“あいうべ体操”が有効で、予防にもなります。
血液循環がよくなり、免疫機能もアップするので、風邪からの回復と予防にも役立ちます。 

《やり方》
「あー」口を思い切り開ける 
「いー」口を思い切り横に広げる 
「うー」口を思い切りすぼめて前に突き出す
「ベー」と、顎に届かせるつもりで舌を思い切り下に突き出す
  ヨガの「ライオンのポーズ」のイメージです。

声は出さなくてもかまいません。
①~④を1セットで10~15秒程度で行いましょう。
毎日10セット×3回行うのを目標にしてみましょう。
ポイントは動作を 大きく/ ゆっくり/ 思い切り/ 力いっぱい、 やることです。
「あ」「い」「う」「べ」のそれぞれの発音に合わせて行うことで、口周りの筋肉をより効果的に鍛えることができます。